青森県南部地方でジョミまたはゾミとも言われ、山野に自生しているスイカズラ科の落葉低木で、晩秋、山の恵みがなくなる頃に、直径5mm程の小さな果実が燃えるように紅く染まります。
カシスよりも一回り小さく、その鮮やかな紅色は観賞用としても目を楽しませてくれます。
ガマズミの果実には独特の酸味があります。
また、普通の果実は熟すと落下しますが、ガマズミは樹上で果汁たっぷりになるまで熟しても落ちません。
文献などが無いため原産地ははっきりとわかっていませんが、日本、朝鮮半島、中国などで認められています。
また種類によってはヨーロッパでも生育しています。
青森県三戸地方ではその昔、獲物を求めて一日中歩き回るマタギたちが、山中で食べるものがなくなるとガマズミを探し出して口にし、身体を休めたといいます。そのためガマズミは山の神からの授かり物としてマタギたちから大切にされたといわれています。
ガマズミの名は「神の実」に由来するとも伝えられています。
しかし、マタギが少なくなった今、言い伝えもいつしか忘れられていました。
この伝承が、三戸町の人たちと大学の研究によって甦りました。
全国には様々な種類のガマズミがありますが、果汁などの食用に適しているものはガマズミ属ガマズミで、これは冷涼な青森県の気候を好むことが分かってきました。
そこで青森県三戸地域を中心に、新しい果汁作物としてガマズミを栽培しようとする活動が始まりました。全国でガマズミを食用に生産しているのは青森県三戸地域だけです。
この10年間でガマズミ果実の生産量は70倍以上に増加し、今では年間15~20トンが生産されています。
それと並行して、大学などがガマズミの研究を進め、健康への作用や成分を解明してきました。
ガマズミの成分の特徴は豊富なポリフェノールにあります。数種類のアントシアニンが含まれていますが、特に、シアニジン-3-サンブビオシドはガマズミ特有のアンドシアニンで、ブルーベリーやカシスには含まれていません。これ以外にもクロロゲン酸類などが豊富に含まれています。